”野球に飢えている” 誠桜女子野球部のリアルとこれから
- hannokizawa yuto
- 2023年8月8日
- 読了時間: 6分
更新日:2023年8月15日
#盛岡誠桜高校 女子野球部の躍進
彼女達は野球に飢えている
実際に3年間指導をしてきたことで、黒澤監督にはとある気付きがあった。それは男子、女子共に指導してきた黒澤監督だからこそ気が付く、女子野球の「魅力」でもあった。
黒澤:彼女達は本当に野球に飢えているんですよ。楽しみたいという話もありましたが、ほとんどの女子たちが飢えているんです。
例えば、小、中学校時代ですね。決して指導者を否定するわけではないですが「勝つ」ことがチームの中核にあれば、女子や、技術が追いついていない子は、使ってもらえないことがあると思います。「女子だから怪我させるのも怖い」のような、色々な理由で草むしりやボール拾いをやらされて、なかなか練習に入れてもらえない、そんな中でやってきているので、「もっと野球をやりたい」と、飢えているんですよ。
そういったことから、その子達の「野球ができる」ことへの想いというのは全然他と違います。熱の入り方が違いますね。加えて、痛みに強いし、耐える力がある。指導者からすると、もっと教えてあげたいなと思うんです。
なので、女子野球を指導していて、勝った時に泣かない指導者はいないと思いますね。心のそこからよくやったなって言えます。

ー教え甲斐がある反面、指導者の方も日々指導のバランスが難しく、葛藤もありますよね。
黒澤:そうですね。昨今指導者の方は苦しんでますね。女子野球を教える監督やコーチにもやめていく方は結構います。なんとか熱のある方々が一生懸命指導できるような女子野球であってほしいなとは思います。
創設メンバーに聞いた、盛岡誠桜女子野球部
野球に飢える彼女達に、熱量を注ぎ続けてきた黒澤監督。
そんな黒澤監督が監督就任後、共に女子野球部としての道を歩んできた3年生3名が、最後の夏を迎える。今のリアルな想いと、大会への意気込みについて聞いた。

ー現在のチームの雰囲気はいかがですか
真石:人数が少なかったりと、チームとしての課題や、乗り越えないといけない壁が多いです。ですが、今乗り越えている途中なのでみんないい雰囲気で、「目標にむかって頑張ろう」という気持ちになっています。
ー高校で野球をやろうと思ったきっかけはなんですか?
真石:中学時代黒澤さんの元で指導を受けていたので、高校も黒澤さんの元でやりたいと思い誠桜を選びました。それと、私はプロに行きたいという目標があるので、それもあり女子野球を選びました。
ー黒澤監督はどういう監督ですか
真石:怖いと思う人もいるかもしれないですが、部員一人一人に真摯に向き合ってくれます。その人の長所も伸ばしてくれるし、人間性がすごく良くなります。野球の技術だけじゃなくて人間性も指導してくれるので、社会に出てからのことでためになる指導をしてくださいます。
ー初代女子野球部として、3年間活動してきていかがでしたか
真石:創部した時は大変で、人数揃えるとこからのスタートなので、辛い時も多かったです。でも、最後には大会にも出られましたし、出られるだけでもありがたいことなので。深い思いがあります。
ー今大会の目標をお願いします
真石:まずは全国1勝することで、みんなで後悔しない大会にしたいです。

ー野球をやろうと思ったきっかけはなんですか
坂本:中学校でも野球をやっていて、そこでやめようと思っていたんですけど。オープンスクールに行って、まだ続けたいなと思って始めました。
ーチームの雰囲気はいかがですか。
坂本:どこのチームよりも仲がいいんじゃないかというくらい仲良くて。先輩後輩とかそういうのなく、気になったところはすぐいうみたいな感じで、いい雰囲気でやってると思います。
ー去年の初勝利はいかがでしたか。
坂本:前より技術が上がったのを自分でも感じるのと、あとはチームの雰囲気も勝ってからどんどんノリに乗っていくみたいな感じで、練習も今まで以上に楽しく、厳しい時は厳しくやっていけてるのかなと思います。
ー大会目前で、目標を教えてください。
坂本:チームの目標はまずは初戦突破です。最終目標としてはベスト16を目標にしています。

ー野球はいつから始められたんですか?
小橋:野球は小学校2年生からやっていて、中学校ではソフトボールをしていました。
ー昨年初勝利からチームの変化はいかがですか
小橋:雰囲気がよくなりましたね。みんなメンタル的にもプラスに持って行けていますね。
ー誠桜を一言で表すとどんなチームですか
小橋:元気ですね(笑)
ー今大会の目標をお願いします
小橋:初戦で勝って、そこから少しでも長く続けていきたいと思います。
今後も飛躍が期待される盛岡誠桜高校女子野球部。そんなチームに黒澤監督が求める姿とは何か。最後にお話を伺った。
我々指導者が綺麗事を言わなかったら、誰が綺麗事をいうんですか
黒澤:今の子供達は、男子も女子もそうなんですけど。夢を語らないんですよ。
「君の夢は何?」と聞くと「公務員」と返されたり。「え?夢を聞いてるんだけど?」って言っても、「ないです」とか。例えば、「野球をしにきているんだよね?夢ないの?」と聞いても、「プロ野球選手です!甲子園です!」が無いといいますか。夢を語らないんです。
黒澤:「夢」と書いて「現実」と読むとします。更に「夢」と書いて「未来」とも読むとします。それじゃあ、「未来」と書いて「現実」と読んだ時、「未来を現実にする」ためにはどうすればいいのかと言われれば、「努力」なんです。
今度は「努力」と書いた時に、なんて読むか。「あなた自身の名前」なんです。「努力」と書いて、「自身の名前」を言えたら。名前が出てきた瞬間に「あの人は努力の人だよね」って言ってもらえるようになったら。巡り巡って、「夢」を掴める人になるんじゃないのかと。だからこそ夢を持ち、夢を語ってほしいんです。
黒澤:正論だとか綺麗事だとかいうかもしれないけど、我々指導者が綺麗事を言わなかったら、誰が綺麗事をいうんですかという思いがありますね。なので夢を持って、無邪気に野球を楽しみたいっていう子供達に来てほしい。って言ったらこれも夢物語になるかもしれないですけど。とにかく自分の可能性を信じてきてくれる子がいいなと思います。
あと、ウチに来ればとにかく試合に出られます(笑)たくさん出られます。だからいっぱい試合に出たいっていう子はきてもらえれば。今のところはいくらでも試合には出そうという感じなので。ぜひ試合に出たい子はきていただければと思います。よろしくお願いします。

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